株式投資において、企業の収益性を見極めるための指標は非常に重要です。
その中でも、「PER(株価収益率)」は、企業の収益力を評価する上で欠かせない指標の一つです。
PERを正しく理解し活用することで、企業の収益性や株価の妥当性をより的確に判断することが可能になります。
今回は、PERの基本から具体的な計算方法、そしてどのように活用できるかを詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
PERとは?
PER(Price Earnings Ratio、株価収益率)は、株式の投資価値を評価する際に使われる主要な指標の一つです。
具体的には、企業の株価がその企業の一株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)に対してどれだけの価値があるかを示しています。
この指標は、投資家が企業の収益性を判断する際に広く利用されます。
計算方法
PERは、株価を一株当たりの利益(EPS: Earnings Per Share)で割ることで求められます。
PER = 株価 ÷ 1株当たりの純利益(EPS)
なぜその計算方法なのか
PERは、企業の収益性に対する市場の評価を反映しています。
株価は市場の期待や企業の将来の成長見込みを反映しているため、株価をEPSで割ることで、投資家がその企業の収益に対してどれだけの価値を見出しているかを示すことができます。
この方法により、企業の収益力の比較が容易になります。
具体的に何が分かるのか
PERを用いることで、以下のことが分かります
割高・割安
- PERが高い場合 = 割高
PERが高いのは株価が割高とされています。
割高と聞くと悪い印象を持つかもしれませんが、投資家がその企業に対して高い評価をしていることを示していると言えます。
例えば、PERが30倍の場合、その企業の利益の30年分に相当する価格で株価が取引されているということです。 - PERが低い場合 = 割安
PERが低いのは株価が割安とされています。投資家がその企業に対して低い評価をしていることを示します。例えば、PERが8倍の場合、その企業の利益の8年分に相当する価格で取引されているということです。
成長の期待値
- PERが高い場合 = 期待値が大きい
市場から高い成長が期待されています。
新しい技術を開発している企業や急成長している業界の企業は高PERになりやすいです。 - PERが低い場合 = 期待値が小さい
市場からの成長期待が低いです。例えば、成熟した業界の企業や一時的に業績が悪化している企業は低PERになりやすいです。
投資リスク
- PERが高い場合 = リスクが高い
成長が期待されているため、将来の利益増加が予測されますが、その分リスクも高いです。
期待通りの成長が実現しなければ、株価が大きく下落する可能性があります。
特に、期待が過剰に膨らんだ場合は「バブル」と呼ばれ、このバブルがはじけると株価は急落します。 - PERが低い場合 = リスクが小さい
成長があまり期待されていないため、リスクが低いとされます。
安定した利益を上げている場合、大きな成長は見込めないものの、安定した投資対象となり得ます。
PERの基準値
一般的な基準値としての目安です。
- 10以下
割安とされることが多い - 10〜20
適正範囲とされることが多い - 20以上
割高とされることが多い
他の指標と組み合わせることで分かること
PERは単独でも有用ですが、他の指標と組み合わせることでさらに深い分析が可能です。
- PBR(Price Book-value Ratio、株価純資産倍率)
PBRが低く、PERが高い場合、その企業の資産は高評価されているが利益が伴っていない可能性があります。 - ROE(Return on Equity、自己資本利益率)
ROEが高く、PERが低い場合、その企業は効率的に利益を生み出していると考えられます。 - 成長率:PERは企業の成長期待を反映するため、成長率と組み合わせることで将来の株価動向を予測する手がかりとなります。
PERを使った例文
- A社のPERは20です。これは市場全体の平均よりも高いですが、成長期待が高い企業として注目されています。
- B社のPERが10以下に下がったことから、投資家の間では割安株として買い増しの動きが見られます。
- PERとROEを併せて分析すると、C社は高い利益率を維持しながらも株価が割安であることが分かります。
- D社のPERは30と高めですが、新製品の売上が急増しているため、今後の成長が期待されています。
- 市場のPER平均が15である中、E社のPERは8です。これは現在の株価が割安である可能性を示唆しています。
PERに関連する用語
- PBR(株価純資産倍率)
株価を企業の純資産(資産から負債を引いた値)で割った値。
企業に対する市場の評価を示す指標。 - EPS(1株当たり利益)
企業の全体の利益を発行済み株式数で割った値。
PERの計算に利用される。 - ROE(自己資本利益率)
企業が自己資本に対してどれだけの利益を生み出しているかを示す指標。
PERと組み合わせて企業の収益性を評価する際に重要。 - ROA(総資産利益率)
企業が総資産に対してどれだけの利益を生み出しているかを示す指標。
企業の運用能力を評価するのに用いられる。 - PEG比率(株価収益成長比率)
PERを成長率で調整した指標。
企業の成長性を考慮しつつ評価する際に利用される。
まとめ
PERは、株価と企業の収益力を比較するための重要な指標です。
単独でも有用ですが、他の指標と組み合わせることで、企業の財務健全性や成長期待をより深く理解することができます。
PERが高い場合は成長期待が高いことを示し、低い場合は割安である可能性を示唆しますが、他の要因も考慮して総合的に判断することが重要です。
コメント